四 立証
1 意義
  当事者がした事実主張につき相手方当事者がこれを争う場合(自白又は擬制自白が成立するときは立証の必要がない。)に、当該主張事実の存在又は不存在を根拠づけるために、当事者双方から、契約書・証言等の具体的な証拠を提出することによってされる訴訟活動。
  例:原告Aが被告Bに対し甲建物の売買代金1000万円の支払請求をし、Aにおいてこの請求を根拠づけるため「AとBは平成7年1月1日に甲建物をAからBに代金1000万円で売る合意をした」という事実主張をしている場合において、Bがこの事実主張につき「知らない」とか「争う」とかの答弁(認否)をしているとき、Aにおいてこの事実の存在を根拠づけるため、平成7年1月1日付けの甲建物の売買契約書を提出したり、Bにおいてこの事実の不存在を根拠づけるため、目撃者Cに証言を求めたりするが、これらの訴訟活動が立証である。
  なお、事実主張でさえあれば、相手方当事者がこれを争う限り、主要事実のみならず、間接事実及び補助事実も立証の対象となる。
2 立証を要しない事実
  当事者がした事実主張につき相手方当事者が「知らない」とか「争う」とか答弁した場合でも、すべてにつき立証の問題が生ずるわけではない。民訴法179条は「裁判所において当事者が自白した事実及び顕著な事実は、証明することを要しない」としているので、立証が必要となる事実は、@自白が成立した事実(擬制自白を含む。)及びA裁判所に顕著な事実を除く事実である。
 「裁判所に顕著な事実」とは、a「公知の事実」とb「裁判所が職務上知った事実」のことであり、「公知の事実」とは、文字どおり誰でも知っている事実のことであって、例えば「先の大戦がいつ始まりいつ終結したか」とか「日本が連合国との間でいつ講和条約を締結したか」等の歴史上の出来事などである。「裁判所が職務上知った事実」とは、当該訴訟の審理を担当する裁判官の過半数(単独審理のときは当該担当裁判官、3人の合議体審理のときはそのうちの2人の裁判官)が裁判官としての職務遂行上に知った事実のことであり、例えば私人Cが破産宣告を受けたか否か及びその日時、当該民事訴訟において訴状が被告に送達された日(民訴法138条参照)などである。なお、裁判官が「職務上知った」ことが必要であるから、例えば審理の対象となっている交通事故を通勤途上においてたまたま目撃したような「私的に知った」事実は含まず、裁判官が目撃者としてその訴訟の証人となったときはそもそも当該訴訟の審理から除斥されることがある(民訴法23条1項4号参照)。
3 立証の手続
  立証の手続は、大きく分けると、当事者の一方(双方でも差し支えない。)が裁判所に対し証拠の取調べを要求する手続と、この要求に基づき裁判所が意思決定をし、現実にその取調べをする手続とに区分することができる。この場合、当事者のする証拠の取調べの要求を「証拠申出」、裁判所が証拠の取調べをする意思決定を「証拠決定」、裁判所がする証拠の取調べを「証拠調べ」という。
  当事者の一方がする証拠申出に対し相手方当事者が反対することは可能であるから、証拠決定は証拠申出の当否に対する裁判所の意思決定の一種であるといえよう。民訴法180条1項は「証拠の申出は、証明すべき事実を特定してしなければならない」とし、2項は「証拠の申出は、期日前においてもすることができる」と定め、同181条1項は「裁判所は、当事者が申し出た証拠で必要でないと認めるものは、取り調べることを要しない」と定めているが、これらは、証拠申出の方式(同180条)及び証拠決定の意義(同181条)について定めたものである。
  なお、民事訴訟においては、当事者の証拠申出に基づいてその当否が判断されるという形で証拠決定がされるのが大部分であるが、例外的に、当事者の証拠申出に基づかず裁判所が独自に証拠決定をすることができる場合も定められており、これを職権証拠調べと呼ぶ(民訴法207条に基づき当事者本人尋問を職権で行う場合等)。


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